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書評「死ぬときに後悔すること25」

最近、身近で人が亡くなり、「死」について改めて考えさせられたこともあって、たまたま見つけて気になっていた本書を購入して読んでみました。

概要

終末期を迎えた人の痛みや苦しみを和らげる緩和医療を行う医師が、患者と向き合ってきた経験を元に、「人は死ぬ時、どのようなことを後悔するのか」について記した本です。自分のこれまでの人生について考え、これからの生き方のヒントになることでしょう。

書評

あまり詳しすぎるネタバレにならないことを意識しつつ、章ごとに分けて記載します。

健康・医療編

何はともあれ健康を維持することは大事だということです。健康でなければ他の行いに制限が出てくるので当然と言えば当然ですね。ただし、健康維持の為には「健康に関する体験談」のようなものを鵜呑みにして実行するのではなく、定期的な検査(健康診断)をしっかり受けることが大切なようです。自分は1年1回の定期検査のみですが、もう少しチェックする機会を増やそうかと考えています。

最期となれば、元気だった頃には当たり前のように出来ていた意思表示も出来なくなるので、前もって「どうしてほしいのか、どうしたいのか」を伝えておくべきというのは、よくある相続問題への対策なども考えてる、やはり重要ことなのだそうです。ただ、このようなことをするのは、自分が家庭を持ち、ある程度高齢になってからでしょうが、独身で若いうちから意識しても、周囲には死に急いでいるように思われそうです。

回復する見込みが無い状態で治療を続けるのか止めるのかを決断することは、それまでの生き様や覚悟によって、精神的負担は大きく変わってくるのでしょう。後悔が多いほど生に対する執着も大きく、生き長らえることにこだわるのだと思います。しかし、治療自体が身体に負担がかかって死期を早めることもあるし、自分にとってより良い最期を過ごす為に「治療しない」という選択肢も間違いではないことが分かりました。

心理編

やりたいと思ったことは(周囲に迷惑がかからない範囲で)とりあえずやってみる。意識していないと日々の生活がルーティン化してしまい安定はしているけど変化が無く退屈で、時間はあっという間に過ぎ去ってしまいます。また、目標や夢を持っているならば達成しておかないと、それも後悔になってしまうので、その為の努力は必ずしておくべきなのでしょう。

家庭や社会のルールに厳しく従って生きるというのも、批判されるようなことは無くとも自分らしく生きられず、つまらない人生になってしまうので、悪事に手を染めるのは当然ご法度として、自身や周囲の感情に振り回され過ぎないようにしながら、自分の生きたいように生きることがベストなようです。

また、人に優しくしてきた人は自分に対しても優しく出来、死に対して良い受け止め方が出来るようになることも分かりました。

社会・生活編

遺産や葬儀のことを何も話していないとトラブルが起きることは多いようです。死に際になって、意識はあるけど考えがまとまらなかったり、声が出したくても出せない状態で、周囲で争いが起きていたり、自分の本意とは異なる方向へ物事が進んでいってしまっていたりする状況では「元気な内に話し合っておけば」と後悔してしまうことになってしまうようです。なお、私は既に血縁関係者が共同で入る墓が用意されているので、墓に関しては考える必要は無く、その辺はありがたく思っています。

生きる為に仕事をして収入を得ることは大事ですが、仕事=人生となると、仕事が出来なくなったときに生きがいがなくなってしまうので、ある程度の趣味を持って楽しんでおくことは重要なことのようです。

病気が理由で味覚が変わったり無くなったりすることがあるようですが、老衰でも同じような状態になってしまうようで、食べたいものは食べられるうちに健康を害さない程度に食べておくべきなのだそうです。そうえいば、無くなった祖父は食べるのが好きで、医者に注意を受けても美味しそうに食べていた記憶があります。最後は食べられない状態になって亡くなりましたが、きっと食に対する後悔はあまりしていなかっただろうと信じています。

趣味の1つとも言えるのでしょうが、やはり旅行は若いうちにしておいた方が良さそうです。私は、特に30歳を超えた頃から国内各地へ旅をするようになりました。海外はあまり興味が無いので、とにかく少しでも若いうちに、行ったことが無い所へ行こうと計画を立てています。

人間編

人がいつまで元気で生きているかは分からないので、会いたい人には会いたいと思った時に会っておくことは、会う側も会われる側も後悔しない為の行動であり、会う為の労力が大きいほど元気なうちにやっておくべきなのでしょう。

人間として生まれ、恋愛・結婚・子育てをしてこなかった場合は、その人生を後悔することが多いようです。ただ、後悔するのは「したかったけど出来なかった」であり、最初から「しない」という意思で生きてきた人は後悔しないでしょう。結婚と子育ては”気軽に体験”とはいかないですが、恋愛については(上手くいくかどうかは別として)経験しておいて損は無いと個人的には思っています。

宗教・哲学編

内容が少し難しかったのですが、大まかに要約すると下記2点です。

  • 生と死に対する自分自身の見解(意味)を持っておく
  • 神仏の教えを学び、宗教について考える

宗教に対する関心が薄い日本人ほど、生や死について意識する機会が少なく、「良く分からないか怖い」といったように恐れているようです。私の家系の宗教は仏教ですが、別に普段からお経を唱えるようなことはしていないし、お寺も墓参りの時期くらいにしか行かず、仏教徒という自覚もありません。ただ、お坊さんのお話は、生と死に対する考え方として「そういう解釈もあるのだな」と参考になるものがあります。

最終編

人に「ありがとう」ということは、恥ずかしかったり当たり前なことになっていたりして言う機会は少ないですが、日頃から意識して言うようにすることは大切なことで、別れゆく人達に最後に伝えるべき言葉はやはり「ありがとう」なのだと思います。

さいごに

あとがきにもあるのですが、人によって後悔するに値しない内容もあります。ただ、いずれやってくる最期の時に「自分の人生は素晴らしいものだった」と言えるようにする為の指南として読んでみてはいかがでしょうか。

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