NW-WM1Aを購入してから約5ヶ月が経過した頃、再生時間は200時間を超えました。これまで、毎日のように使ってきて改めて感じたことを書いてみたいと思います。
ただし、機能や仕様の紹介については散々出尽くしているので細くは書きません。
出来るだけ原音に近い環境で聴ける
昔の機種やエントリー機には、原音に大きな味付けをする機能が付いています。ウォークマンで言えば”Clear Audio”と呼ばれる類のものです。これを使うと音が煌びやかな感じになり、人によっては「音が良くなった」と思うようですが、それは元の音とは大きくかけ離れています。
WMシリーズには”Clear Audio”は搭載されておらず、低域をアナログアンプの特性に近づける”DCフェーズリニアライザー”や、圧縮によって失われた周波数帯を補完する”DSEE-HX”があり、ハイレゾより情報量の多いフォーマットのDSDを変換無しで直接聴くことも出来ます。
当初は、MP3, AAC, FLAC(48kHz)で”DSEE-HX”を使って聴くことが多かったのですが、やはり元からハイレゾである音源の方が総じて良い事が多く、最近はハイレゾ音源を買って聴くようになりました。
所有欲を満たす筐体のクオリティ
WMシリーズはエントリー機のようなプラスチッキーな軽いボディではありません。剛性や精密部品が詰まったイメージを受ける程よい重量感に、見た目の美しさを醸し出すヘアライン加工など、ハードウェアの部分にも魅力は沢山あります。
特に、上部両サイドに配置されている2つの大きなヘッドフォン接続端子は、音質への拘りを感じさせる存在感を放つパーツの1つです。
また、ロゴが彫り込まれたシボ加工の背面だけが、他面と趣が異っているのもお気に入りです。
剛性高い筐体ですが、その美しさを保ちたいのであれば、操作しない時は何らかの形で保護する事を推奨します。現に、私の武蔵野レーベルの革ケースの表面は、頻繁な使用によりスレ傷だらけになっています。

大きく、操作しやすいハードウェアキー
NW-WM1Aを買うまで使ってきたNW-X1050は、ハードウェアキーが小さく、手探り状態で操作するには使いづらいものでした。
しかし、NW-WM1Aのハードウェアキーは大きく、まとまった配置になっているので、そのような事はありません。
リモコンがあれば、必然的に本体のハードウェアキーを使用して操作する頻度は低くなります。しかし、リモコンのボタンとは違う心地良いクリック感は、重厚な音楽再生機というメカを操作する楽しさを感じさせてくれます。
音が聴きとりやすくなるバランス接続
NW-WM1Aを知るまでバランス接続というものは知りませんでしたが、とても興味が沸いて試してみたくなった事も、NW-WM1Aを選んだ理由の一つです。
アンバランス接続と比べると、聴き疲れしにくい音になりました。中央寄りに集約されていた音が全体的にばらけて、元々の音が鳴っていた場所から聴こえるようになった感じです。音場の広いイヤホン・ヘッドホンと組み合わせれば、まるで広いライブ会場で聴いているかのようです。
現在は、バランス接続の規格が乱立しており、どれに統一されるのかも少し気になります。

やっぱり新しい方が良い
かつてフラグシップ(最上位)だった機種よりも、新しく発売されたエントリー(入門)である機種の方が多くの面で優れているという事は、長い年数が経っているほど良くある事です。
“新しい機種はどうにも好きになれない”という理由があるのなら、修理不能になるまで使い続けるのも良いのかもしれません。NW-WM1Aを買うまでNW-X1050を使い続けていた状態の私がそうでした。しかし、一度聴いてみれば、その考えが180度変わる事もあり得ます。

約8年が経過しても動き続けたNW-X1050
長く使うからこそ良い物を
NW-X1050は約7年半使用し、バッテリーの持ちが悪いのとNCがOFFに出来ない不具合は出ていますが、普通に聴く分には何も支障がありませんでした。
Xシリーズは、発売当初はハイエンドウォークマンの位置付けであり、価格は他のどの機種よりも高かったですが、造りはしっかりしており、だからこそ長く使って来れたと思っています。そのような理由から、次に買い替えるウォークマンも同じように妥協することなく、出来るだけ良い物を選びたい気持ちがあり、A30シリーズも考えたものの最終的にWMシリーズに決定しました。
なお、1Aを選んで1Zを選ばなかったのは、「筐体色が気になる」「重量が重すぎる」といった理由によります。
荷物増加と引き換えに快適なリスニング環境を得る
スマホのカメラの高機能化でカメラが売れなくなったと言われていますが、携帯音楽プレイヤーも同じかもしれません。ハイレゾが再生出来るスマホの発売やアプリが配信されており、スマホだけで完結しそうです。
それでも私がウォークマンを使うのは、スマホのバッテリーを無駄に減らしたくないのと音楽が着信で遮られたりするのが嫌、スマホが専用機を超えると思わないからです。
たとえ荷物が1つ増えたとしても、何時でも何処でも最高の環境で快適に音楽が聴けるようになるのであれば、NW-WM1Aを持ち運ぶことは苦になりません。
使用する頻度と期間を考えれば高価ではない
物を購入する際に価格を考慮する事は重要ですが、それだけで判断してしまうのは勿体ないものです。安さを選んだがゆえに、すぐに壊れたり満足感を得られず手放すことになるかもしれません。
私の場合、ポイント等で諸々110,000円程度で購入し、NW-X1050と同じくらいの期間(7年半)使う予定で購入しましたが、毎日使うとすると”7.5年×365日=2555日”なので、1日あたり”40円”にしかならない事が分かり、この価格で購入を迷うことはありませんでした。
単に金額の大小で判断するのではなく、自身が使う頻度や期間に見合った額であるかを考えてみて下さい。必ずしも”高い”とはならないはずです。
また、高級機ゆえに価値が下がりにくく、たとえ実際に買って使ってみて満足出来なかったとしても、新品同様の状態で手放せば、買った時と同じくらいの金額で売れる可能性は高いでしょう。
残量に捕らわれ過ぎないバッテリー容量
より気軽に高音質で音楽を楽しめるバランス接続に対応したNW-ZX300が2017年10月7日に発売となりました。本体は軽くて細身であり、胸ポケットに入れるだけで重みを感じるWMシリーズよりもスマートです。しかしながら、その分だけバッテリー容量が減っているので、再生可能時間はNW-WM1Aよりも短くなっています。
頻繁に充電する煩わしさや充電環境が無い状況において残容量を気にかける事を考えると、少しでも再生可能時間は長い方が良く、その点について考えるとNW-WM1Aは十分なバッテリー容量を持っていると思います。毎日1時間程度の使用ですが、週一の充電で十分間に合っています。
また、Ver 2.00のアップデートにより自動電源オフ機能が追加になり、「スリープさせっぱなしで、いつの間にかバッテリーが切れていた」なんて事も無くなりました。
WM1AとZX507、どちらを選ぶかについて
コンパクトで軽く、バランス接続を手軽に楽しめるNW-ZX300の後継機に当たるNW-ZX507が発売となりました。
少なくない人が迷うと思われるWM1AとZX507ですが、下記いずれかに当てはまるのであればZX300で良いと思います。
- 重量は軽くて大きさは小さい方が良い
- 気軽にポケットに突っ込みたい
- 出来るだけ荷物を減らしてストリーミングミュージックをバランス接続で楽しみたい
- Android OSが欲しい
いずれかに当てはまらないのであれば、WM1Aを買った方が後悔しないはずです。
ストリーミングミュージックについては、WM1AでBlurtoothレシーバー機能(※)を有効にしてスマホと無線で接続し、スマホのアプリでストリーミング再生すれば、WM1Aのバランス接続の音で聴くことが出来ます。
※ファームウェアVer.3アップデートで実装
音に関しては、「WM1Aに迫る高音質だが、低音の響きに関してはWM1Aの方が上」といったレビューが見受けられます。
長々と書きましたが、私はNW-WM1Aを選択して正解だったと思っています。
いつでもどこでも音楽を聴く時に、最高の再生環境があるというのは素晴らしい事です。
検討している方にとって、少しでも参考になればと思います。
2021/03/17追記:
ついにNW-WM1Aは生産終了品となりました。
https://tecstaff.jp/2021-03-01_nw-wm1a_info.html
1Zは別として、他のどのウォークマンよりも音質は良いと思いますので、気になっている方は早めに決断することをお勧めします。
ファームウェアアップデート後のレビューも掲載しています。


2022/4/17追記:
後継機のNW-WM1AM2を購入しました。